「大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション1 スタンダードレベル」で英語長文の壁を突破しましょう

   長文読解 comments(0) - 堀川紫野介

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英文解釈までは何とかたどり着いても、英語長文に着手すると壁にぶち当たることってないですか。

 

 

 

英単語、英熟語、英文法、そして英文解釈までは、大変困難な道のりではありますが、何とかマスターすることができます。しかし、英語長文は勝手が違います。急に荒野に投げ出されたような気分になります。内容が把握できないのです。

 

 

 

この原因は二つあると思います。

 

(1)一般教養が足りない

 

(2)英語特有の理屈っぽい言い回しに慣れず、全体像を見失ってしまう

 

 

 

 

 

(1)まず、「一般教養が足りない」です。英語長文は、国語現代文のジャンルで言うならば、ほとんどが「評論」に該当すると言えるでしょう。

 

 

 

例えば、「プラスチックと環境汚染」というテーマで英語長文が記述されている場合、事前に一般教養として「プラスチックが及ぼす環境汚染の影響」が頭に入っていれば、英語長文の内容把握が容易になります。

 

 

 

しかし、一般教養としての知識がないと「マイクロプラスチックって何だろう?」ってことになるのです。このような知識がなければ、ものの見事に「枝葉」に意識がいきます。「木」も見えず「森」も見えません。当然、読解も浅くなり読むスピードも遅くなるでしょう。

 

 

 

近視眼的な勉強をしている人は、超合理的な勉強を追求するあまり、自分にとって関係のないものには一切目も向けません。このような受験生は、英語長文で淘汰されることになります。

 

 

 

ただ、日常生活において新聞の見出しに目を通したり、テレビのニュースを少し見るだけでも変わってきます。また、現代文キーワード集のテーマなどを読んでも参考になります。

 

 

 

早慶上智大学を志望するお兄さんお姉さん方が二冊目の英単語集としてよく使っている「話題別英単語リンガメタリカ[改訂版]」は、英語長文に対応するテーマを大変詳しく記述しています。GMARCH・関関同立を志望するお兄さんお姉さん方は日本語部分だけでも目を通していただきたい内容です。

 

 

グローバル化と地域の固有文化

大きな政府と小さな政府

沈黙の春

進化論と聖書の創造論

遺伝子組み換え食品

安楽死

プラシーボ効果

情報リテラシー

ポジティブ・アクション(積極的差別是正措置)

死刑廃止論

 

 

 

少し嫌がらせで、上記の語句を記述してみました。一般教養としてスラスラっと自分の言葉で解説できるぐらいでないと、長文読解で苦戦することになります。

 

 

 

慶応大学志望者の多くは小論文に取り組んでいます。このようなテーマの論文を時間内で記述する訓練をしているのです。きっと英語長文の得点も高いことでしょう(もちろん、元々成績がいいから。慶応大学を志望しているというところもありますが…)。

 

 

 

 

 

 

(2)さて、次は「英語特有の理屈っぽい言い回しに慣れず、全体像を見失ってしまう」お話です。

 

 

 

英語は理屈っぽく遠回しの言い方をしますので、日本語訳を読んでいても頭にスッと入ってきません。

 

 

 

何かの本で読んだのですが、英語の世界は一文が長い方がカッコいいそうです。だから、長々と遠回しの言い方をするのかもしれません。俳句の世界に生きる日本人には馴染めない世界かもしれませんね。

 

 

 

次の例文は私が勝手に作った文章です。茶化したところがありますが、日本語表現と英語表現の違いに注目して下さい。

 

 

 

日本語表現では

「梅干しは嫌いだから食べたくない。でも、梅酒なら飲めます。」

 

英語表現では

「嫌いな飲食物を避けようとする私の強い意志は、一片の梅干しでさえ、舌の上に乗せようとしないであろう。ただ、梅干しの原料である梅の実をベースに作られたお酒が対象であるならば、私の断固たる意志は、完全に消滅してしまうだろう。」

 

 

ネット翻訳で英語にしてみました。

 

日本語表現では
I hate pickled plums so I don't want to eat them. But I can drink plum wine.

 

英語表現では

My strong will to avoid food and drink that I dislike will not even put a piece of pickled plum on my tongue. However, if the target is sake made from plum fruits, which are the raw material for pickled plums, my decisive will will disappear completely.

 

 

 

英語特有の理屈っぽい遠回しな表現で英文を長々と記述されると、何が言いたいのかわからなくなってしまいます。

 

 

 

このような理屈っぽい表現に慣れる必要がありそうですね。

 

 

 

 

 

文章が長くなって申し訳ないのですが、ここからが本の紹介です。

 

 

今回ご紹介するレベルは日東駒専、産近甲龍クラスの大学を対象とした「大学入試 レベル別英語長文問題ソリューション1 スタンダードレベル」となります。受験レベルの水準ですので、日本語訳を読んでも骨があります。

 

 

 

この本の特長は

 

■短いけれども長文の練習になり、起承転結のある300語前後の長文が10題セレクトされている。

 

■10題それぞれに、身近な話題から文章理解のために必要とされる一般教養を、上手く導いてくれる「コラム」が掲載されている。

 

■理屈っぽい言い回しがあり、日本語訳を読んでもスッと頭に入ってこないレベルの文章が掲載されている。

 

■157ページの厚さ、ほど良い説明量でリズミカルに読み進めることができる。

 

■丁寧な構文図解があるので、わかりやすい。

 

■音読用白文があるので音読しやすい。

 

■実際の受験に即した問題文と設問が掲載されているので、実戦として左から右に読む訓練ができる。

 

です。特に上位3点は重要です。

 

 

 

 

この本の使い方です。

 

 

既に英語の成績が良いお兄さんお姉さん方は、オーソドックスに問題を解いて、解説を読み、正解と照らし合わせながら進めてください。

 

 

 

しかし、英語長文で壁にぶち当たってるお兄さんお姉さん方は、この本をドリル型問題演習という要素を取り除いてしまって下さい。前文で書いた英語長文の壁をぶち壊すための訓練本と位置づけて下さい。

 

 

 

そのためには、次の手法が有効です。日本語から着手します。

 

(1)コラムを読んで一般教養の大切さを認識して下さい。インターネットなど別の情報源で補足しても可です。

 

 

 

(2)日本語訳を読んで、自分でストーリーが他人に話せるぐらいに馴染ませて下さい。

 

※(1)と(2)は自分の身体に刷り込むぐらい丁寧にやって下さい。ここが非常に大事です。現代文の得点アップにも繋がりますので、焦らずにやって下さい。一般教養をバックボーンにしながら、理屈っぽい言い回しに頭が慣れることがとても大切なのです。

 

 

 

(3)日本語訳と英文を比較しながら、英文構造を把握します。構文図解や語彙リストを活用して下さい。

 

 

 

(4)英語構文を意識しながら、音読用白文を10回音読し、英文を左から右に読み解く訓練をして下さい。

 

※音声ダウンロードも利用できます。ただし、音声を聞きながらぼそぼそと口にして、やった気分になるのは効果がありません。文の構造を把握しながら自分自身で声を出すことが重要です。英文は必ず見て下さい。

 

 

 

(5)最初の問題形式の長文に戻り5回音読して下さい。音読用白文と勝手が違うはずです。実戦では空所があったり、並び替えがあったり、読みにくい英文を左から右に読まなくてはなりません。

 

※音読する前提として、英文構造を文法的にも正しく理解していることが重要です。左から右に読みながら、「ここは副詞節だなぁ」とかがわかってくると、枝葉に振り回されない読解力が養われます。

 

 

 

(6)最後に問題を解いてみましょう。高得点になるとは思いますが、そんなこと気にせず最後の締めぐらいの認識で十分です。

 

 

 

中途半端に次の本に移行するよりも、(1)から(6)をしっかりやって、英語長文の壁を突破しましょう。

 

 

 

「ソリューション2 ハイレベル」「ソリューション3 トップレベル」を読んでみると、さらに難解な文章が存在することがわかります。必ず「ソリューション1 スタンダードレベル」からスタートして下さい。

 

 

 

また、この本に取り組む前提として「肘井学の 読解のための英文法が面白いほどわかる本」をマスターしておくことをお薦めします。

 

 

 

英語長文の「枝葉」、「木」、「森」を頭の中で整理しながら、正しく把握する訓練を進めていきましょう。

 

 

 

 

難易度  ★★★☆☆
お薦め度 ★★★★★

 

 

 

 

 

 

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